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Pumpkin Scissors(4)不公平な世の中

『こいつらが許せないのは――「不公平な世の中」そのものだ』
4巻は、丸ごと「舞踏会編」です。
華やかで贅沢な貴族の舞踏会の影で、寒さと飢えで死に逝く平民を描き、戦災の不公平さを上手く描けているところは流石だと思います。
貴族の誇りと義務、正義とは何かなど今回も様々なテーマが交錯しながら物語が進んでいきます。
守るべき民に刃を向けなければならない苦悩と葛藤を、それぞれの立場で対比して描き出す展開は見事です。
シリアスな展開が続く傍らで突如投じられる、オレルド准尉の「豊満なおっぱいと生意気なおっぱい」発言が見事な脱力感を誘います。
見所の多い巻ですが、ダメな子かと思われていたステッキンの意外な才能もお見逃し無く。

2015年03月01日

Pumpkin Scissors(3)絡みし綾を絶て、双剣(メーネ)!!

『絡みし綾を絶て、双剣(メーネ)!!』
帝都地下水道を舞台に繰り広げられる、情報3課(パンプキン・シザーズ)と民間水道管理局の麻薬密売を巡る攻防がクライマックスを迎えます。
「不可視の9番(インヴィジブル・ナイン)」のひとつである「908HTT」の兵士たちの悲劇のエピソードをはじめ、事件の裏で暗躍する『結社』の登場、「陸情1課」の「第1の大検(クレイモア・ワン)」の登場など、目を放せない展開が目白押しです。
見所満載の3巻ですが、イチオシは、2巻で出番の少なかったアリス少尉が鬱憤を晴らすがごとく大暴れしてくれるところだと思います。
巻の終盤では、新たなエピソード「舞踏会編」がスタートしました。迫力満点のアリス少尉の姉二人が登場します。息つく暇も無く、続きが気になる展開が続きます。

2015年05月05日

Pumpkin Scissors(2)立ちはだかる障壁

『立ちはだかる障壁、ことごとく斬り刻まん!!』
岩永良太郎さんの軍事アクション物『パンプキン・シザーズ』の第二巻です。
この巻では、暗躍する組織の影が見え隠れするなか、今後の展開で、鍵となりそうな新キャラクターが登場し、物語に厚みが出てきました。
「901ATT」をはじめ「不可視の9番(インビヴィジブル・ナイン)」というキーワードや、キャラクターの過去が少しずつ明らかになってきます。
そんななか、帝国陸軍情報部3課がどうして「パンプキン・シザーズ」と呼ばれるようになったのかというエピソードが語られますが、このエピソードがなかなか感動的です。
今回も適度なギャクは健在です。今後の展開が気になり、次巻が待ちどうしいです。

2015年06月15日

Pumpkin Scissors(1)戦災という名の“もうひとつの戦争”

『それは、戦災という名の“もうひとつの戦争”!!』
岩永良太郎さんが描く軍事アクション物です。
停戦から3年、永き戦乱により荒廃しきった帝国を舞台に、戦災復興のため日夜奔走する、帝国陸軍情報部3課、通称「パンプキン・シザーズ」に所属する隊員達の活躍と葛藤を絶妙のバランス配合で描く傑作です。
気高き貴族のアリス少尉、女たらしのオレルド准尉、常識メガネのマーチス准尉、そして謎多き満身創痍の大男オーランド伍長という個性あふれるキャラクター達が、貴族・軍人・平民らの軋轢に身を焦がしながらも奮闘する様が活き活きと描かれています。
綺麗事だけでは済まない事柄に対し、己の無力感や悩みを持ちながらも前を向き進んでいく姿に胸を打たれます。
適度にギャグを挟みつつ展開される物語は、エンターテイメント作品としても十分楽しめます。『そんなキミだからこそ、ここで彼らを許すわけにはいかない!!』3巻にまたがって繰り広げられた「舞踏会編」に決着がつきました。公平であるために、身分、貧富を超越したところで戦い続けるアリスの姿は見事の一言に尽きます。「貴族」がただ傲慢なだけではないということに気づき、振り上げた拳を下ろすことができなくなった「平民」たち、そして今回の暴動の発端となった侯爵は、貴族としての誇りを取り戻し、事態を収束させるべく立ち上がり・・・。展開としては、非常に王道なのですが大円団といかないこの作品らしさは依然として顕在です。その他、新キャラクターの紹介をかねてミニエピソードが2編収録されています。1編は、マーチス准尉と隣国ローデリアのお姫様であるセッティエーム姫のハートフルストーリー。もう1編は、陸情1課・クレイモア・ワンの副長が繰り広げる昼ドラ・・・。どちらも、とても良い仕上がりです。

2015年03月18日

アンゴルモア 元寇合戦記(1)『文永の役』の対馬侵攻

たかぎ七彦さんが描く歴史物の作品です。
鎌倉時代の元寇『文永の役』の対馬侵攻を題材にしているところが、歴史物にしては珍しく、新鮮です。
史実における、『文永の役』の対馬侵攻は、1000人の元軍に対し、対馬勢は100騎に満たない戦力で奮戦するも惨敗し、島民は惨殺あるいは捕虜として大陸に送られてしまいました。
この作品では、史実を踏まえつつ、もしも敗戦後、敗軍を纏め上げ抵抗を続ける英雄がいたとしたら・・・という展開で物語が進んでいきます。
鎌倉での政争に敗れた朽井迅三郎15歳は、足りない兵力を補うため、罪人たちとともに、モンゴル来襲前夜の対馬に送られてくるところから物語が始まります。
戦闘の描写や鬼気迫る元寇襲来の大船団など、迫力ある画風で描かれています。
いよいよ迅三郎が活躍というところで1巻が終わってしまい2巻が待ち遠しいです。

2015年03月17日

機動戦士ガンダム サンダーボルト(4)サイコ・ザクの存在

前巻より、息の詰まるような怒涛の展開が続きましたが、ついに決着が着きます。
これまでも、様々なタイプのカスタムタイプのモビルスーツが紙面に描かれてきましたが、最終戦でも期待通り、各種モビルアーマー郡とはじめ本策オリジナルジオン軍新鋭隊長機などなど1コマ1コマチェックしたくなるほど描かれていました。
そして、一年戦争後の世界に突入していきます。
連邦VSジオン残党という構図ですが一般的ですが、『サンダーボルト』は一味違います。
なんと、第三勢力が参戦します。そして忘れてはいけません、ストーリーの骨は「サイコ・ザクの存在」というぶれない信念です。
素晴らしく穏やかな青い空と海、煌く太陽と対照的なアッガイや荒廃した都市の描写が切なさを感じさせます。
主義も理想も関係ない、過酷な戦場が描かれています。

2015年03月11日

攻殻機動隊(1)

映画『攻殻機動隊GHOST IN SHELL』『イノセンス』の原作です。
士郎正宗さんの、科学技術が飛躍的に高度化した日本を舞台に、マイクロマシン技術による電脳化、サイボーグ化の技術を駆使した犯罪に立ち向かう内務省直属、攻性公安警察組織「公安9課(攻殻機動隊)」の活躍を描いた作品です。
欄外に注釈が満載されているため、少し読み辛く感じますが、非常に読み応えのある作品です。
SFや科学技術が好きな人にとっては、この注釈覧はかなり楽しめるものになっていると思います。
20年以上前に発表された作品ですが、現在でも十分楽しめる作品です。
人を選ぶ作品ではありますが、作者の描く緻密で綿密な世界観は類を見ません。難解なストーリーや設定ですが、そこがまた、一つの魅力でもあります。

2015年06月24日

アップルシード(1)プロメテウスの挑戦 第5次非核大戦

化学兵器・生物兵器が使用された第5次非核大戦を生き抜いたデュナン・ナッツと全身サイボーグのブリアレオスの活躍を描いた近未来サイエンスフィクション作品です。
攻殻機動隊の著者としても有名な士郎正宗さんデビュー作です。
初版発行から30年という時間が流れていますが、そんなことは気にならない内容です。
当時から21世紀の世界情勢をリアルに作品内に盛り込む士郎さんの先見の明には驚愕します。
電子化にあたり、解説箇所をいろいろ削っており、士郎さんの作品の特徴である欄外の注釈がなくなってしまっているところが残念です。
いろいろと思うところはありますが、士郎正宗さんの作品世界の原点であるこの作品がいつでも手軽に読める電子版として発行されたことはうれしく思います。

2015年07月20日

カタンの開拓者たち

カタンという無人島を舞台に、複数の入植者たちが開拓しその繁栄を競い合う、ドイツ発の対戦型ボードゲームです。
比較的わかりやすいルールですが、奥が深く大人から子供まで一緒になって遊べます。
マップがそれぞれパズルのようにパーツとして分けられているため、毎回違ったマップで遊ぶことができるため様々な展開が楽しめます。そして、このゲームの最大の特徴は、プレイヤー同士の交渉で資源の交換をすることができる点でだと思います。
サイコロを使用するゲームのため、多少運は絡みますが、運の悪さを交渉で補ったり、ときには協力、ときには妨害、様々な戦略を立て、和やかにも、シビアにも遊べます。
プレイ時間も大体1時間程度で終わり、最後まで全員参加できる点など、ゲームバランスも良くお勧めです。

2015年04月29日

ナポレオン ―獅子の時代― (2)苛烈アレンジ歴史漫画「ナポレオン」

濃い!熱い!漢!長谷川哲也さんが描く、苛烈アレンジ歴史漫画「ナポレオン」の第2巻です。
時代は1789年フランス革命が勃発したところです。
この巻では、ナポレオンがパリの陸軍士官学校砲兵科を卒業後、砲兵連隊に所属していましたが、任務に嫌気が差し、故郷のコルシカに帰郷してしまうところから、コルシカ島を捨て新たな戦場に復帰するまでの期間が描かれています。
時代背景の描写として、ルイ16世、ロベスピエール、サン=ジェスト、マラー、ミラボーといった、フランス革命に関係する主要人物たちが多く登場します。皆さん、とても個性的です・・・。
前巻から比較して、歴史考察が深くなり、迫力、勢いも増し増しで読者のテンションも上がってきます。

2015年08月09日

Pumpkin Scissors(7)

新章スタートです。小休止を終え、重量級の物語が再開されました。今まで語られることのなかった陸情2課が登場します。今回の物語の舞台は、独立辺境警備隊に管理されているとある街です。6巻のエピソードで陸情3課が入手した手紙が実は極秘任務であったため、手紙を解読してしまった陸情3課は陸情2課に拘束されてしまいます。解読現場に居なかった、アリス少尉とオーランド伍長が、新キャラクター、陸情2課のコールド・ヴィッター少尉とともに事件の調査に向かいます。アリス少尉の姉エリスの語る、アリスの生い立ちなど、キャラクター過去を掘り下げる描写も見逃せません。隣国との関係性、絡み合う謎と揺れ動く人間関係が今後どのような展開を見せるのか、今後の展開が気になります。6巻は、掲載紙の引越しなどがあった時期の作品のため、作品紹介をかねた短編集的な仕上がりになっています。まずは、5巻から引き続き、陸情1課、クレイモア・ワンの副長のエピソードが収録されています。後半は、前半の昼ドラからは打って変わってヴァイオレンスなアクション物となっています。続いて、停戦後も一般人を巻き込んで戦争もどきに明け暮れる地域に、陸情3課乗り込んで、戦災復興をするエピソードです。そして、最後は今後の伏線となっていく郵便横領取締り編が収録されています。前巻までの重厚なテーマや感動というものは少ないですが、見所は多くあります。イチオシは、幕間のマルヴィン姉妹と旦那様の日常です。それぞれのキャラクターが良く面白いです。

2016年12月20日