Pumpkin Scissors(1)戦災という名の“もうひとつの戦争”

『それは、戦災という名の“もうひとつの戦争”!!』
岩永良太郎さんが描く軍事アクション物です。
停戦から3年、永き戦乱により荒廃しきった帝国を舞台に、戦災復興のため日夜奔走する、帝国陸軍情報部3課、通称「パンプキン・シザーズ」に所属する隊員達の活躍と葛藤を絶妙のバランス配合で描く傑作です。
気高き貴族のアリス少尉、女たらしのオレルド准尉、常識メガネのマーチス准尉、そして謎多き満身創痍の大男オーランド伍長という個性あふれるキャラクター達が、貴族・軍人・平民らの軋轢に身を焦がしながらも奮闘する様が活き活きと描かれています。
綺麗事だけでは済まない事柄に対し、己の無力感や悩みを持ちながらも前を向き進んでいく姿に胸を打たれます。
適度にギャグを挟みつつ展開される物語は、エンターテイメント作品としても十分楽しめます。『そんなキミだからこそ、ここで彼らを許すわけにはいかない!!』3巻にまたがって繰り広げられた「舞踏会編」に決着がつきました。公平であるために、身分、貧富を超越したところで戦い続けるアリスの姿は見事の一言に尽きます。「貴族」がただ傲慢なだけではないということに気づき、振り上げた拳を下ろすことができなくなった「平民」たち、そして今回の暴動の発端となった侯爵は、貴族としての誇りを取り戻し、事態を収束させるべく立ち上がり・・・。展開としては、非常に王道なのですが大円団といかないこの作品らしさは依然として顕在です。その他、新キャラクターの紹介をかねてミニエピソードが2編収録されています。1編は、マーチス准尉と隣国ローデリアのお姫様であるセッティエーム姫のハートフルストーリー。もう1編は、陸情1課・クレイモア・ワンの副長が繰り広げる昼ドラ・・・。どちらも、とても良い仕上がりです。

2015年03月18日